「じゃあ、私はお席で待っているわね」

 それで母は去っていった。

 先に披露宴会場へ入っていてくれるのだ。

 これからはじまる披露宴。

 新郎新婦入場では、清登が洋斗を抱っこして、三人で入場することになっていた。

 ブーケを手にした沙也をエスコートしながら洋斗をしっかり抱くというのは少し大変だろうが、清登が「ぜひそうしたい」と言ったのだ。

「夫婦だけじゃなく、名実共にパパとママになるんだ。それなら洋斗も一緒がいい」

 強い決意と、沙也へだけでなく、洋斗への愛もたっぷりこもった言葉。

 そう決まったとき、沙也は早すぎることに、目が潤んでしまったくらいだった。