そこへ、足音が聞こえてきた。

 視線を向けると、洋斗を抱いた母が近寄ってくるところ。

「お母さん!」

 沙也はつい、声を上げていた。

 近付いてきた母はやはりお色直しのドレスも褒めてくれたし、腕に抱かれた洋斗も同じように褒めてくれたのは言うまでもない。

「じゃあ清登くん。お願いします」

 母のその言葉で、洋斗は清登の腕に移った。

「ええ、大丈夫です」

 清登がしっかり洋斗を抱え直す。

「ぱーぱ! かっこい! あおー! きらきらー!」

 洋斗ははしゃぎ出して、目に付いたもので言葉にできる限りのことを、すべておしゃべりするくらい上機嫌。

 清登が「良い子にな」と苦笑したくらいだった。

「洋斗、よろしくね」

 その二人に沙也が近付き、声をかける。

「ままもー! きれぇ!」

 洋斗はやはり、余計に楽しそうになってしまった。

 ぱたぱた手を振って、清登が落っことさないよう気をつけないといけないくらいだ。