幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「お父さん! 準備は大丈夫ですってよ」

 母が廊下にいたらしい父に声をかける。

 まだ終わっていないなら悪いと思っていたらしい父が、それでやっと顔を出した。

「おお! すごく綺麗だぞ、沙也」

 一歩踏み入るなり、やはり目を真ん丸にした父。

 黒いタキシードを身に着けている。

 きっちり支度をしたその格好で、感嘆の声を出した。

「ありがとう」

 沙也は何度目かもわからないお礼を言った。

「無事にこの日が迎えられて幸せね」

 はしゃぎそうになる洋斗を抑えながら、母はしみじみと言った。

 確かに、十日間の交際をしたとき、それから妊娠を告白したときのことからすると、今、こうしてゴールインできたのが奇跡のように思う。

 あれからいろんなことがあって、ときには間違えてしまったこともあったけれど、ここへ来られたのが一番の幸せだと思った。