幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「ありがとう。もうすぐ終わるよ」

 近寄ってきた沙也が、あまりにいつもと違う姿だったからだろう。

 母の腕にいた洋斗が、目を真ん丸にした。

「ままぁ! きれぇー!」

 顔全体で驚いて、褒めてくれるので、沙也の胸が、じんと熱くなってしまう。

「ありがとう。洋斗もとってもカッコいいよ」

 洋斗の髪に優しく触れて、褒める。

 沙也が褒めたのはすぐわかったようで、洋斗は今度、自分のことを示すように言う。

「かっこいー?」

 新しい服を着たときなどはいつもそう褒めているので、すぐわかったようだ。

 ちょっと自慢げですらあるので、沙也の表情は愛おしげな笑みになった。

「うん。とっても」

 洋斗も今日は、初めて着る子ども用の礼装姿だった。

 黒の上着、ネクタイを締めて、下はハーフパンツ。

 幼いながらも立派な紳士だ。