幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「エステいいよねぇ。私も早くゴールインしたいなぁ」

 明依は何気ない調子で、何気ない話をした。

 付き合っている彼氏とは、まだ結婚の話は出ないらしい。

 可能性がなくはないし、早く言ってほしいと思うけど、まぁまだ急ぐ年齢でもないからなぁ。

 そんなふうに、明依はいつも言っている。

「明依ならきっと大丈夫だよ」

 沙也はいつも言うように励まして、洋斗がそれに反応して続けた。

「だーじょぅぶぅ!」

 すっかりお気に入りの言葉になってしまったそれを、繰り返す。

 今ではもうしっかり『励まし』と理解しているのだ。

「ありがとっ、ひろくん! 彼氏が結婚してくれないなら、ひろくんと結婚するからいいもんねー!」

 一旦は沙也の腕に渡っていた洋斗をもう一度、自分の腕に抱いて、ぎゅっと抱きしめる明依。

 明依が明るくふざけているのはわかったようで、洋斗はきゃっきゃっと笑った。

「明依になら、結婚してもらってもいいかも」

 沙也もおかしくなって、くすくす笑ってしまう。

「本当に? じゃあそうしようかなー。ひろくんはどう?」

 抱っこした洋斗に聞いてくるそれに、洋斗は「けっこー、ん?」と、笑顔でありつつも、まだ不思議そうに首をかしげるのだった。