幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 その日の話は誰にもしなかった。

 清登にはもちろん、一連のことが終わったあとの夕方、明依の家に洋斗を迎えに行っても話さなかった。

 真悠にとって、とても大事なひとときだったのだ。

 ひとに話してしまうのはためらわれた。

 ただ、お迎えに行ったとき、明依には言われてしまった。

「沙也、なんか穏やかな顔だけど、どうかした?」

 洋斗を抱っこして出てきた明依は、ちょっと不思議そうな顔をした。

 それほど様子に出ていたのか、と思うと、やはり自分は単純すぎる、と思わされた沙也だった。

 でもやはり話すつもりはなかったので、「すっきりできたからかな」と言っておいた。

 明依は今日のブライダルエステのことだと受け取ったようだ。

 もちろんエステの予約はすっぽかしてしまって、後日に変更してもらったわけだが、これまた言うわけにはいかない。