幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 見つめて言われて、沙也は急に気まずく、恥じ入る気持ちになる。

 今思えば、完全に誤解だったのに、なんということを言ったのだろう。

 いや、本心だけど。

 そして真悠のこの様子なら、言って良かったのだろうけど。

「幸せになってなんて、やっぱり言うわけないけど。……まぁ、そういうあなただからいいのかな」

 最後にそう言って、真悠は笑った。

 沙也が見たこともないような、穏やかな笑みだった。

「目暮さん、せっかくだから送っていってちょうだい。うちの車を呼ぶより早いわ」

 真悠はすぐに沙也から手を離して引っ込め、視線も外した。

 目暮に向かってそう要求する。

「かしこまりました」

 目暮はすぐに頷いて、それですべておしまいになった。

 秋の折、潮風はだいぶ冷たかった。

 だけど何故か、その冷たい風は、沙也の頬を心地良く撫でていった。