幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 沙也が理解したときには、真悠が思い切り腕を上げ、振って、指輪は海へと舞っていた。

 小さな、小さな指輪だ。

 海に落ちるところなんて見えない。

 ただ、ひゅっと、宙に弧を描いて、落下する様子だったところしか目に映らなかった。

 それでもわかった。

 真悠の気持ちは、これで本当におしまいなのだ。

 喜んでいいとは思わない。

 そんな資格はない。

 でも……沙也の気持ちは凪いでいた。

「ま、そんなわけよ。今度こそ私も、ぐだぐだしていない恋をするわ」

 指輪を放った先をしばらく見つめていた真悠だけど、不意に振り返った。

 沙也と目暮に、笑顔を見せる。

 それにはどう答えていいかわからなかったけれど、先に真悠が手を上げた。

 腕を持ち上げ、沙也の鎖骨あたりを人差し指で、トン、と叩く。

 急にそんなふうにされて、沙也は驚いた。

「あなたときたら、先走り過ぎるひとだとは思うけど、そのくらいの覚悟があるのはわかったわ」