「だからある意味、すっきりしたともいえるわ。そりゃあ、清登のこともあなたのことも許せない。でも、清登とぐだぐだの夫婦になるよりましだったんじゃないかな」
真悠の様子は少し変わった。
すっきりした、という言葉通りの声音と表情だ。
数時間前、沙也に電話をかけてきたときも、このような表情だったのだろうな、と思わされた。
沙也はすべて理解した。
真悠の事情も、気持ちも……考えていたことも。
そして、真悠はきっと……そう、自分以上に優しいひとなのだということも。
「ここね、清登と来たことがあるのよ。私が『海を見たい』って気まぐれに言ったのを叶えてくれたの」
真悠はふと、視線を外して海のほうを見た。
沙也にとっては知らない、初めて見る光景だった。
ぼんやりと実感する。
『海が見たい』と婚約者に言われた清登が、ここの海を選んだ理由。
多分……沙也との想い出の『海』には行きたくなかったのではないか、と。
これもやはり、口に出す気はなかったけれど。
真悠の様子は少し変わった。
すっきりした、という言葉通りの声音と表情だ。
数時間前、沙也に電話をかけてきたときも、このような表情だったのだろうな、と思わされた。
沙也はすべて理解した。
真悠の事情も、気持ちも……考えていたことも。
そして、真悠はきっと……そう、自分以上に優しいひとなのだということも。
「ここね、清登と来たことがあるのよ。私が『海を見たい』って気まぐれに言ったのを叶えてくれたの」
真悠はふと、視線を外して海のほうを見た。
沙也にとっては知らない、初めて見る光景だった。
ぼんやりと実感する。
『海が見たい』と婚約者に言われた清登が、ここの海を選んだ理由。
多分……沙也との想い出の『海』には行きたくなかったのではないか、と。
これもやはり、口に出す気はなかったけれど。



