幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 ますます恥じ入ってしまった沙也だったが、清登の空気はすぐに緩んだ。

 どう思われたかな、と思って、沙也がそろっとそちらを見ようとしたと同時。

 柵を握って力が入っていた沙也の手に、あたたかなものが重なってきた。

 それは清登の手。

 沙也の目が真ん丸になった。

 恥ずかしいより先に、驚愕してしまう。

「ありがとう」

 きゅっと沙也の手を上から包み込みながら、清登はそう言う。

 沙也の心臓の鼓動が、とくとくと速くなっていった。

 お礼を言ってくれたこともそうだが、触れ合った手のあたたかさ。

 こんなふうに手を触れさせることなんて、子どもの頃以来だ。

 あの頃よりずいぶん大きくなって、ごつごつして、大人の男性になった手。

 その手が今、自分の手を優しく包んでくれている。

 速くなった鼓動は、沙也の体を熱くした。

 熱が顔までのぼってきて、頬も赤くなったかもしれない。