幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 苦しさと恐ろしさで、涙が込み上げた。

 それでも必死に口に出し、捕まえ続ける。

「……あなた……」

 真悠の声が、呆然とした。

 捕まえられて苦しそうな声ながら、ぼうっと呟く。

 不意に、沙也の肩になにかが乗った。

 がしっと捕まえられる。

「沙也様。落ち着いてください」

 目暮の声だった。

 車をちゃんと停めて、追ってきたらしい。

「え……!?」

 大きな手で、落ち着かせるように肩を包まれて、沙也は混乱した。

 どうして止められるのか、と思ったとき。

 目暮が静かに、沙也に言い聞かせるように、言葉を発した。

「真悠様は初めから、死なれるつもりはなかったのですよ」