幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「ちょっと! なにするのよ!」

 真悠が混乱と、少々の怒りの混ざった声で叫ぶけれど、離す気などない。

 沙也は必死で声を上げた。

「やめてください! 死ぬなんて……!」

 離したら振り払って、飛びこまれてしまうのでは。

 胸が冷え切る思いで、しっかり捕まえる。

「……は?」

 真悠はそれに怪訝な声を出したけれど、沙也の耳には届かなかった。

「死ぬなんて絶対駄目です!」

 ただ、しっかり真悠を捕まえ、言い放った。

「……あなたねぇ! 私がいなかったらすっきりするじゃないの! なに言ってるのよ!」

 沙也のそれには真悠が顔を歪め、やけくそのように、言葉を発した。

 離してというようにもがくので、沙也はますますしっかり捕まえることになる。

「私、誰かを傷つけても後悔しない道を選ぶって決めました……、だけど命は別です!」

 もはや真悠の息が詰まりそうなほど強く抱きしめる沙也。

 そうしながら発した言葉に、真悠が息を呑んだ気配がする。

「真悠さんがここで死ぬなら、私は償いにすべてを捨てます!」