幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「目暮さん! 停めてください!」

 目暮に向かって頼む。

 目暮もあの女性に目を留めたのだろう、硬い表情になって、道の端に寄せた車は停車した。

「あっ! 沙也様!」

 車が停まるやいなや、沙也はドアを開けて外に飛び出していた。

 バッグも持たず、身ひとつだけで必死に走る。

 今ならまだ間に合う。

 最悪の事態……後悔してもしきれない事態になることはなくなる。

 間に合って……!

 今日はぺたんこのパンプスだったことが幸いした。

 沙也は必死で走り……、近付いた先の女性は、驚いたように振り返った。

「沙也さん!? どうしてここに、……っ!?」

 目を真ん丸にして聞かれかけたけれど、沙也は答えずに、真悠に組み付いた。

 細い胴に腕を回して、がしっと捕まえて、体全体で捕らえる。