幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 そしてそこからわずか十分ほどだっただろう。

「この付近だと思います。ただ、わたくしの予想というだけですが……真悠様にとって『想い出の海』というなら、おそらく」

 目暮はゆっくり車を走らせ、あたりの様子を見ているようだった。

 沙也の心臓が、どくん、どくんとうるさく騒ぐ。

 気持ち悪くなりそうな、嫌な鳴り方だった。

 なんとかそれを押さえつけていたのに、その心臓は、ある光景を見て、どくんっと喉元まで跳ね上がったかと錯覚するほど強く鳴った。

 海が臨める崖の上に、誰か立っている。

 赤いコートを着ていて、やわらかそうなロングヘアが、潮風に吹かれてなびいているのが見えた。

 たったそれだけだったけれど、沙也は確信した。

 あれは真悠だ。