幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 ちょっと茶化すようだったけれど、沙也にはわかった。

 これは本心だ。

 さっき、少し寂しいと思ったのだとわかってしまう。

「……もう。別に、取られたりしないのに」

 だから軽く笑ってしまったが、それは幸せそうな笑いになった。

 沙也が嬉しく思ったのはわかったようで、清登はもうひとつ、ふざけるように言った。

「わからないぞ。しっかり捕まえておかないと」

 だけどこれもやはり本心で言ったとわかるので、沙也はこれまた笑ってしまった。

「もう」

 そこへ洋斗がとことこやってきた。

 片付けをしていた清登の腰にくっつく。

「ぱーぱ! きれい、きれい!」

 片付けをしていたのはわかっただろう。

「ああ! きれいきれい、してるところだよ」

 洋斗からやってきて、くっつかれて、清登は明らかにデレデレの表情になった。

 沙也は噴き出しそうなのを堪えなければいけなかった。

 清登の今まで知らなかった面を、あれからたくさん目にしている、と実感する。

 驚くこともあるけれど、自分と洋斗をなによりも、誰よりも一番にしてくれるのは、このうえない幸せだと噛み締めてしまった。