幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「小学生の頃、遠足で来たなぁ」

 そのとき、ふと清登が口に出したこと。

 沙也はびっくりした。

「ここの海だったっけ?」

 つい聞き返すと、清登はさらりと肯定した。

「そうだよ。サービスエリアが近くにあったって覚えてた。ほら、あっちが俺たちの過ごしたところかな」

 どうやら清登は沙也より少し大きかったぶんだけ、回りのこともよくわかっていたようだ。

 一方を指差したほうを見ると、確かになんとなく想い出にあったところと似ているように思えた。

「すごいね、しっかり覚えてるなんて」

 沙也が褒めると、清登はあの頃と同じような、ちょっとかわいらしい自慢げな表情になった。

「ま、それは二歳の差かなぁ」

「もう」

 その顔で、まさに小学生の頃のように言うものだから、沙也はくすくす笑ってしまった。

 でも海を見て、想い出を思い出したのは自分も同じだ。

「私もさっき、海で過ごしたときのこと、思い出してたよ」

 だから素直な言葉が出てきた。

「そうか。嬉しい」

 清登の表情は、ふっとやわらかくなった。

 心から嬉しいと思ってくれたからこその言葉なのだと、伝わってくる。