幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 ひとつ思い出せば、次々と想い出は出てきた。

 お互い、クラスや学年の友達とも一緒に過ごすから、ずっと一緒とはいかなかったけれど、それでもお昼は一緒に食べたし、海辺で遊んだ。

 そして清登は……。

「せっかくだから、次のサービスエリアで降りてみるか? ちょっとは見られるかもしれないぞ」

 そこで清登が提案してくれて、沙也の思考は一旦途切れた。

 でもその提案はとても魅力的だったので、嬉しくなって、すぐに頷く。

「うん! 降りてみたいな」

 清登の車はすぐに、次のサービスエリアに入ってくれた。

 ほかの車に気をつけながら降りて、向かったのは海辺が見えるほう。

 柵が張ってあったので、その前に立って、海を見る。

 樹々の茂る間に少しだけ見える形で、しかもだいぶ距離があったけれど、今の沙也にはとても魅力的に映った。

「素敵だね! 夕陽が海に反射してる」

 もう夕暮れが近付いていた。

 オレンジ色の光が、時折、海の水面に反射して、きらりと光る。

 美しかった。

 こんなに美しい海は、見たことがないというほどに思った。

「うん。すごく綺麗だ」

 清登も穏やかに言う。

 きっと自分と同じように思ってくれているのだろうな、と思えて、沙也の心はほわりとあたたかくなってしまった。