幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 目暮の来訪や話がなければ、自分はここにいないのだ。

 そしてそれだけではなく、あの騒動がショックだったのは、清もそうなのだ。

 いや、あの件で一番すべてを悔いた存在だろう。

 沙也は知る。

 清のこの受け入れ、香々見家としては一蹴してきても仕方がない事態を、諦めの気持ちがあったとしても受け入れを決めてくれたのは、あの件が大きく陰を落としたからだ。

「それに、清登が昔から好いた子だったんだろう。それなら、婚約破棄騒動になったのは惜しいが、こうなる未来も元々あったのだろうな」

 次に清が言った言葉は、もっと優しかった。

 清登に向かって言われた言葉は、きっと香々見家当主というよりも、清登を大切に想う、祖父のものだっただろう。

「……ありがとうございます」

 清登は頭を下げた。

 清は勘付いていたのかもしれない。

 子ども時代の清登と沙也の様子から。

 ある意味、踏ん切りや勇気がなく、つかず離れずなんてしていた自分たちより、ずっと的確だったかもしれないと沙也は思った。