幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「そちらの……伊月さんも」

「は、はい!」

 それでも、自分を呼ばれたときは、強張った声になってしまった。

 清登のエスコートで、示された席へ向かう。

 まず洋斗を子ども用の椅子に座らせた。

 洋斗はやはり、緊張しているようだった。

 先ほどよりも、さらに硬い空気である上に、知らないひとばかりだ。

 泣いたりしないでいてくれることを、沙也は祈った。

「では、はじめようか。伊月さん。伊月さんが子どもの頃、何度か顔を合わせたが、わしは香々見当主・清という」

 元通り、椅子に腰掛けた清は、沙也に向かって名乗った。

 沙也は深々と頭を下げ、それに応える。

 続けて自分も名乗った。

「はい。その節は大変お世話になりました。伊月 沙也です」

 このやりとりでなんとなく理解した。

 一応、会社は清登の父に継がれているのだろうが、家で権威を持ち、主導権を握っているのは、この、清登の祖父だ。

 その証拠に、次いで名前を名乗った清登の両親は、だいぶ控えめだった。