幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 香々見家のひとたちは、きっと一応は受け入れてくれたのだろう。

 そうでなければ、清登が沙也にプロポーズするのを許したはずがない。

 でももろ手を上げて歓迎なわけはない。

 大切な婚約者、しかも貴重な家の娘との縁談を破棄にさせられたのだ。

 歓迎どころか、渋々という受け入れ方であることも、じゅうぶん可能性がある。

 だから沙也は大いに緊張し、構えてしまいながら、使用人と清登について、指定の部屋へ向かった。

 沙也の腕の中に抱かれた洋斗も、顔は硬かった。

 さっきと違う意味で、大切なことだと察したようだ。

 エレベーターに乗り、さらにホテルを何階か上がったところで降りる。

 廊下を歩いて、いよいよ『その部屋』に辿り着いた。

「清登様方がご到着いたしました」

 使用人は清登と沙也、それから洋斗が室内に入ってから、軽く礼をして出ていった。

 先ほどのティールームの倍以上はあろうかという広さの室内には、何人かの人物がいた。

 部屋の中央にあるテーブルについている。