幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「ね、洋斗。今度はパパとやってみたらどうかな?」

 今ならいいだろう。

 沙也は洋斗に提案した。

 洋斗は早速青い積み木を再び取り上げていたところだったが、顔を上げた。

 清登に視線を向ける。

「パパ。ぱーぱ」

 優しく促す。

 言ってみて、という沙也の気持ちはきっと伝わった。

 洋斗の顔は明るくなり、その口からは、初めて発音する言葉が出てきたから。

「ぱー! ぱー、ぱぁ!」

 意味はきっと、まだ理解していない。

 そういう名前なのだと思ったのかもしれない。

 でも……、とても大きな一歩だった。

 清登がもう一度、あのときのように顔を歪めて、泣き出しそうになったのは言うまでもないだろう。