幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「婚約は破棄した。父と祖父の許可も取った。……沙也を妻として迎えたいという、俺の希望について」

 清登の声は静かだが、硬かった。

 強い決意と、それだけの準備をしてきたことが、その声にはっきり表れている。

 でも沙也はどう答えていいか、わからなくなった。

「ありがとう」は違うだろう。

 相当苦労したのは、これほど時間がかかったことだけでもわかる。

 それに婚約破棄なんて、喜んでいいことではない。

 だからすぐには返事が出てこなかったのだけど、清登がその前に続ける。

「俺の準備は整った。だから今なら言う資格があるんだ」

 今度こそ、なにを言われるかすぐに悟り、沙也は清登の瞳を見つめるしかなくなった。

 清登の優しげな目元は、今、真剣な色を帯びている。

 表情と声音と同じだった。

 その真っ直ぐな瞳で、清登は沙也に向かって、静かに言った。

「俺と結婚してほしい。今度こそ、これからの一生を共にしてほしいんだ」

 予想していた内容だったのに、沙也の胸は、かっと熱くなった。

 嬉しさと喜び、それから少しの痛みや切なさが、胸いっぱいに溢れる。