幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「あれは~?」

「あれは椅子だよ」

 洋斗が指差したのは、ロビーにいくつか置いてある、大きな肘掛け椅子。

 清登もやはり、優しく答える。

 椅子は知っていても、あんなに大きくて豪華なものは見たことがない。

 洋斗は疑ったようだ。

「おおきー……いすぅ?」

 不審そうに言うので、沙也はつい笑ってしまう。

「大きい椅子もあるんだよ」

 洋斗が興味津々なことだけではない。

 初めて会った日は、清登に対して、あれほど不安げだったり、警戒の様子を見せたりしたのに、今はそれがほとんどない。

 もちろん、初めてのことに意識が向いているのはあると思う。

 それに、清登と会うのも二度目になる。

 それでも、周りのことに敏感な洋斗だから。

 清登を、悪いひとではないと察知したのかもしれない。

 洋斗にとってはきっと、あっちもこっちも見て回りたかっただろうが、今日は大切な用事だ。

 また今度にすることにしてもらって、エレベーターに乗った。