幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「うん、サイズは大丈夫だと思う。わざわざありがとう」

 遅すぎる返事とお礼になったのに、やはり清登は嬉しそうなのだった。

「それなら良かった。さ、洋斗。乗っておくれ」

 そう言って洋斗に視線を向ける。

 洋斗はもちろん、こんな立派な車は初めてなのだ。

 目を白黒させる、という表現がぴったりの表情をしていたけれど、沙也がにこっと笑って、「素敵なぶーぶだね!」と言ったことで、安心したようだ。

 大人しくチャイルドシートに座ってくれた。

 チャイルドシート自体には、父の車でよく乗っているので慣れているのだ。

 沙也は逆のドアに回り込んでその横にお邪魔し、清登は助手席へ向かった。

 それで全員、車内に収まったのだが、運転席を見て、沙也はちょっと目を見張ってしまった。

「お久しぶりです、沙也さん」

 ハンドルの前に座って、振り向いてきたのはスーツ姿の目暮ではないか。

「は、はい! 目暮さん、えっと、その節はどうも」

 あたふたした返事になってしまった。

 でも考えてみれば当たり前のことだった。

 目暮は香々見家の運転手なのだし、あのときからの話や仕事ぶりから推察するに、清登によくついているのだろうから。