「おうちー! おっきー!」

 どうやら家をイメージして積んだようだ。

 もちろん、正方形や長方形の積み木の『家』だし、ちょっと歪んだ積み方だった。

 でも今までの洋斗より、ぐんと上達したことは明らかだ。

「うん。おっきいおうちができるねぇ」

 沙也の優しい言葉に、洋斗はもうひとつ、積み木を上に乗せようとした。

 その積み木は、積んでいた積み木の一番上に当たって、ばらばらっと崩れてしまったけれど、沙也はわかった。

 洋斗ならすぐに、もっと、もっとたくさん積み木を積めるようになる。

 それほど成長が著しいのだから。

 だが、今の洋斗は崩してしまったことが悔しいのだろう。

 いやいや期に入りつつあることもあって、一気に不満げになってしまったけれど、それすら成長を感じられて、愛おしい。

 沙也はぐずりだした洋斗をきゅっと抱きしめて、「次は上手にできるよ」と、優しく頭を撫でてやった。