幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 今度の声ははっきり、呆れだった。

 これまたきっと、真悠の言うようなことが本当であり、正しいのだろう。

「言わないといけないですから」

 それでもこれが自分。

 もうよく自覚しているし、理解した。

 だから沙也は否定せず、受け止めるだけにした。

 その言い方と姿勢は、真悠をさらに呆れさせたようだったけれど。

「そう。あなたのこと、本当にわからない。じゃあね」

 それでおしまいになった。

 真悠はヒールの靴で、かつかつと音を立ててエントランスを出て行って、外に繋がるドアを押し開けた。

 いつのまにか、ぐずついていた天気は回復していた、と、ぼうっと真悠を見送ってしまいながら、沙也は外の様子を見た。

 快晴であるはずもなかったけれど、数時間前まで雨降りだった空からは、細く光が差して落ちてきていた。