幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 でも、どう答えたものだろうと思ってしまった。

「ありがとう」は明らかに違う。

 だが、「それじゃ駄目です」と言いつのるところでもない。

 沙也は困ってしまった。

 その沙也に構わず、真悠は肩のバッグをひとつ揺する。

「それに、私に謝るべきは清登だから。はき違えないでちょうだい」

 真悠はきっぱりそう言った。

 それだけ言って、一歩足を動かした。

「五分以上経っちゃったわね。もう帰る」

 それで、そう宣言する。

 返事を求められなかったことに安堵するやら、すまなくなるやらの沙也だった。

「あの、真悠さん」

 でも、言うべきことはわかっていた。

 自分にここまで話をしてくれて、しかもフォローするようにまで言われてしまった。

 ぎゅっとこぶしを握って、声に出す。

「ありがとうございました。……来てくださって」

 なににお礼を言ったのかは、あいまいにしてしまった。

 それでも、真悠をしっかり見つめてお礼を言った。

 なのに、その言葉と視線は真悠に呆れられてしまう。

「本当に甘くない? 押しかけて、勝手なことを言われたのに、お礼言うわけ」