「う、うん。大学からの友達……」

 急いで明依を指し示すと、明依もだいぶ緊張した面持ちで、軽く頭を下げた。

「は、はじめまして! 空野 明依といいます!」

 清登はその明依に優しい笑みをもう少し濃くして、声をかける。

「空野さん。いつも沙也がお世話になってるんですね、ありがとうございます」

「いえ、そんな……私こそで」

 ぎこちない会話。

 そのあと清登は自分の名前を名乗って、少しだけ軽い会話をした。

 だがここは道路に一時的に停めているにすぎない。

 大通りに面しているわけではないとはいえ、長く停めると邪魔になる。

 だから清登は「すみません、もう車を出さないと」と言い、助手席のドアを開けた。

 もちろん、沙也が乗れるようにだろう。

 早く出発しないといけないのはその通りだったので、沙也は落ち着かないながらも、明依をちょっとだけ振り向いた。

「ごめん、詳しいことは明日にでも……」