幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「私が許せないのは……、清登がいたずらに私をキープしてたこと」

 据わった声になっていた。

 その声で静かに言われたそれは、きっと真悠の不快の根幹。

 そして今日、押しかけてきて、沙也に伝えたかった理由のはじまりだった。

「そりゃあ、御曹司ですもの。私のパパは政界と繋がりがあるから、二夕川家との結婚は釣り合いが取れたものでしょうよ。それに清登の一存で決めることができなかったのもわかってる。……あのときみたいに」

 真悠は淡々と話していく。

 沙也は詳しく知らなかったものの、真悠の家はそれなりのお金持ち、もしくは権威ある家だろうと思っていたが、その通りだったようだ。

 そのあとの『あのとき』というのはわからなかったが、口を挟める雰囲気ではない。

 事実、真悠の様子はだんだん鬼気迫ってきた。

「でもね、心から閉め出せないほど好きな相手がいるっていうのに、それを見ないふりして大人しく婚約を受け入れてたのよ! 酷くない!?」

 ぎりっと奥歯を噛み締めるのが見え、それでもそのあとしばらくは淡々としていたけれど、最後は跳ねた。

 苦しげで、絞り出すような、吐き捨てるにも近いような語調になる。