幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「……私から、行きます」

 たっぷり一分以上は考えてしまっただろう。

 沙也はお腹の底から絞り出すような声で、言った。

 これが沙也にできる、精一杯の譲歩だった。

 マンション内にはともかく、室内になんて入れるわけにはいかない。

 だって洋斗がいる。

 洋斗になんらかの危険が迫らないと、どうしていえよう。

 真悠は『危害を加える気はない』と言ってはきたけれど、鵜呑みにしてはいけないと思う。

 それに、真悠の立場からしたら、沙也が憎いのは当然だろうが、洋斗はもっと憎い存在になるかもしれないのだ。

 それなら、危険が及ぶことなんて、できるわけがない。

「……仕方ないわね。わかったわよ」

 向こうからも数秒、沈黙があった。

 それでも受け入れる返事が返ってくる。

「す、少し……待っていてください」

 沙也は震える声を押し殺し、そう言った。

「早くしてちょうだいよ」

 真悠からの返答はそれだけで。

 ぷつんとインターホンを切る。