幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「沙也さん、聞いているのよね?」

 沙也が答えずにいて、きっとそれが『肯定』の意味に伝わってしまったのだろう。

 真悠の声音は少し変わった。

 応答しているのは沙也だと確信し、あのときと同じ口調になって、押すように言ってくる。

「……帰って、ください」

 沙也が言えたのはそれだけだった。

 震えるのをなんとか堪えながら、インターホンに向かってしゃべる。

 このまま切ってしまいたかったけれど、それではもう一度、押されるだけだ。

 気持ちを押し殺しながら、耐える。

「嫌よ。なんのために来たと思ってるの。開けてちょうだい」

 真悠はカメラをぎろっと睨むように見てきた。

 向こうから沙也は映らないが、沙也を睨みつけたいと言っている表情だ。

「困ります! め、……迷惑です!」

 ここまで押しかけられておいて、大人しく帰られるとは思っていなかったが、沙也としては、喜んで招き入れられる人物であるわけがない。

 絞り出すようにした勇気で、発言する。

「迷惑なんて承知よ。開けないなら、ずっとここで待っててあげるから」

 なのに真悠は、しれっと答えた。