幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 沙也はちょっと警戒する気持ちになってしまう。

 あまりいい来客ではない気がした。

 新聞の勧誘くらいだったらいいんだけど、と思いつつ、インターホンに近付いて、応答ボタンを押す。

「はーい……、……!」

 そして目を見開いた。

 やや粗い画質だが、カメラが付いているので、来訪者の姿は見える。

 映っていたのは女性だった。

 ふわりとやわらかな、ウェーブのかかったロングヘア。

 ワインレッドのブラウスを着ているようだった。

 顔を上げる前から、沙也は顔立ちを想像してしまい、どくん、と心臓が跳ねる。

「伊月 沙也さん宅ですよね?」

 沙也が応答したことでか、彼女は顔を上げた。

 もちろん沙也の想像通りだった。

 二夕川 真悠、とあのとき紹介された女性。

 くっきりした目鼻立ちの、華やかな顔立ちは、今、無表情だった。

 その顔で、静かに聞いてきた。

 沙也は詰まってしまう。

 まさか、真悠が、どうしてここに、どうしてここがわかって……。

 混乱が一気に頭に回る。