幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 今日の明依は、お裾分けのマスカットを持ってきてくれただけのようだ。

 少なくとも本人はそう言った。

 でも多分、違う面もあるんだろうな、と沙也は感じる。

 清登と会って、話をしたときのことは、その数日後に明依に話していた。

 相談をたくさん聞いてもらって、アドバイスも、背中を押してもらうこともしてもらったのだから、当然だ。

 そのときは少し心配されてしまった。

 でも沙也が「きっと大丈夫」と言ったのだ。

 それも微笑を浮かべることすらできた。

 その様子で、明依を安心させられたらしい。

「またなにかあったら言ってね」と、またしても気遣われてしまった。

 だから今日もきっと、沙也を心配して、様子を見に来てくれたのだろう。

 そのくらいは長く友達なのだから、わかる。

 でも明依はわざわざそう言わない。

 それが彼女の『優しさ』のやり方なのだ。