幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 しかし、洋斗のその言葉は正しかったのだ。

 かつ、かつ、と靴がマンションの内廊下を叩く音がかすかに聴こえてきた。

 ここでやっと沙也は理解した。

 あの足音、靴音も、歩き方の音も、明依のものだ。

 自分はここまで近付かれてやっとわかったのに、洋斗はずっと前から聴いて、理解していたらしい。

 子どもってすごいな。

 沙也は感心して、洋斗を抱き上げた。

 床に下ろす。

 すぐに洋斗はとことことリビングの出口のほうへ向かっていった。

 沙也もそちらへ向かい、先にドアを開ける。

 そこでようやくピンポーン、とインターホンが鳴った。

「はいはーい」

 鳴らされた数秒後には、ドアに手をかけていた。

 鍵とチェーンを開けて、ドアを大きく開ける。

 そこには会社帰りの格好をした明依が、ビニール袋を提げて立っていた。

「わ! びっくりしたぁ」

 傘のしずくを切っていたけれど、沙也がドアを開けたのがあんまり早かったからか、目を真ん丸にする。