幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 だから、優しくなれないときだって、きっとある。

 いつか思った。

 すべてを手に入れるなんて無理だと。

 それと同じように、清登が望んでくれた道を選ぶなら、誰も傷つけずにいるなんてことも無理だ。

 それならば、自分がすることはわかっている。

 心を決めること。

 大切なもののために、ときに他人へ酷いことをしてしまう結果になることを、認めること。

 利己的だとわかっていても、それが自分の選ぶ道にあることだ。

「あ! めぇちゃ!」

 考えに沈んでいた沙也の思考は、洋斗の言葉で不意に引き戻された。

 洋斗は明るい声で言い、下ろしてというように軽くもがく。

「明依が来たの?」

 沙也は不思議に思った。

 窓の外にはベランダがあるのだから、窓越しに見えたはずがない。

 あるいはインターホンだって鳴っていない。

 なのに、どうして。