幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 そして清登が言ったのは、とんでもないことだった。

 少なくとも、沙也にとっては、これまでが覆るような言葉。

 でも、まったく縁がない言葉だったわけではない。

 それどころか、こういう言葉、いつか交わせたらいいな、と思っていた内容だ。

「俺と……、付き合ってくれないか。十日でいい」

 清登が静かに言ったこと。

 これが遅すぎたのか、それともそんなことはなかったのか。

 沙也にはわからなかった。

 二十年近くも一緒に過ごしてきて、ごく近くで仲良くしていたのに、付き合うという話が出なかったのは、確かに遅すぎるのかもしれない。

 でも、清登の婚約前。

 このタイミングなら……そんなことはないのだろうか。

「十日? どうして?」

 信じられないような思いを感じながら、沙也はなんとか聞いた。

 清登はやはり固い声で続ける。

「結納が十日後なんだ。だから、……、それまで」

 説明されて、そのあと、少し濁った声で続いた。

 途中、声が小さくなったので、風に掻き消されたように曖昧になってしまう。