幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 立ち上がったので、視線の高さは離れる。

 清登から見下ろすような位置になった。

 そこから言われる言葉と声はとても優しく、沙也の胸を、とくとくと高鳴らせていく。

「ううん。お互い、お礼を言ったっていいでしょう?」

 声の先にある、優しい瞳を見つめながら、沙也は答えた。

 それにはまた、泣きそうな気持ちがわずかに入っているような笑みが返される。

「そうだな。……うん、そうだ」

 そのあと、そのまま玄関へ向かうかと思ったのだけど、清登はすぐに動かなかった。

 玄関がどちらかなど、わからないはずもない。

 沙也は不思議に思った。

 だが、そのあと、もう一度沙也をしっかり見つめて言われたことに、どくんっと心臓が跳ねてしまう。

「酷い男なのを盾に取っていいかな。……沙也」

 声は硬かったのに、最後に呼ばれた声だけは、とてもやわらかく、優しいものだった。

 どくどくと急速に速くなってきた心臓を抱えながら、沙也はそれだけで意味と要求を理解する。