幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「……やわらかい。あったかい……」

 清登の大きな手は、やがて恐る恐る、という様子であったが、洋斗の小さな、小さな手を包み込んだ。

 感じ入った声で、そう呟く。

「そうでしょう?」

 沙也も噛み締めるように言っていた。

 二人の手が触れ合ったこと。

 小さすぎる一歩だったかもしれない。

 でもこれまでの時間と経緯を考えると、月へ飛び立つような大きな一歩だった。

「沙也」

 やがて清登は顔を上げた。

 視線を沙也に向ける。

 まだ涙の痕が残った目で見つめられて、沙也がどきん、としたときだった。

「沙也……!」

 縋るような声と共に、洋斗の手を包んでいるのと逆の手が伸ばされた。

 沙也の肩に触れ、一歩踏み出す。

 洋斗を驚かせないようにだろう、洋斗が抱かれているのとは逆側の肩に、清登は身を寄せてきた。

 抱きしめるという表現には遠かった。

 ただ身を寄せ、肩と腕がわずかに触れ合っただけだ。

 だけど沙也はしっかり理解した。

 強く、強く清登の腕に抱かれたことを。

「清登……くん」

 優しく、強い腕に抱かれて、沙也は小さく呟いていた。

 清登の名前を呼ぶ。

 沙也と洋斗を、心の腕で、ぎゅっと強く抱きしめ、包み込みながら清登は言った。

 絞り出すように、噛み締めるように……自分に思い知らせるように。

「駄目だ、もう離せない。沙也も……洋斗も」