幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 清登が明らかに『慣れていない』と、少々の居心地悪さを感じている様子で座っているのを見つつ、沙也は洋斗を軽く揺すってあやした。

「大丈夫だよ。大事なひとだからね」

 言い聞かせるように、説明する。

 言葉の意味はわからずとも、沙也が伝えたいことは大体わかってくれるのだ。

 泣いていた洋斗も、少しずつ落ち着いてきた。

 やがて泣きやみ、代わりに視線は再び清登に向く。


 このひとは、ほんとうになんなのかな。


 その視線はそう言っていた。

 だから沙也はソファのほうへ、踏み出した。

 今なら先ほどのように大きく泣くことはないだろう。

「洋斗。洋斗とママにとって、一番大事なひとだよ」

 清登のそばへ行き、ソファから立ち上がった清登に近付く。

 まだ距離はだいぶあった。

 三十センチ以上はあっただろう。

 それでも清登と洋斗。

 二人の視線はかち合った。

 一体、なにが流れただろうか。

 通じ合っただろうか。

 沙也にはわからないけれど、きっとこれまた、悪いものではなかった。