幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「大丈夫。この空気に驚いただけだと思うから。ね、洋斗」

 だから沙也は笑った。

 涙の顔だったけれど、笑った。

 それでまた空気が少し変わったのを、洋斗は敏感に悟ったようだ。

「うぇ……?」

 ぐすぐす泣くのは止まらないが、不思議そうな声になる。

 本当に、敏感。

 沙也は感心すら覚えてしまう。

 それでもすぐに不審や警戒、それから不安がなくなるはずもない。

 泣きやまないので、沙也は空気をもう少し変えることにした。

「清登くん、少し座っていてくれる? 洋斗もすぐ泣きやむと思うから」

 清登を見て、そう言う。

 清登は流れた涙を拭っているところだったが、ちょっと室内を見回して、頷いた。

「わかった。じゃ、……ごめん。甘えるよ」

 目を留めたソファへ向かい、座る。

 二人掛けのソファなのに、長身の清登には少し小さめに見えて、沙也はまた、あたたかなものが胸の中に広がるのを感じてしまった。