幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「あ、ああ。じいちゃんの取引先の……」

 淡々と説明していく清登の話を、沙也はただ聞いた。

 清登は沙也の幼馴染ではあるが、そして近所で一緒に育ってきたが、実のところ一般家庭の子どもではない。

 清登の祖父は『香々見コーポレーション』という大きな貿易会社を経営している。流通関係の仕事に詳しいひとなら、すぐにわかるほど有名な会社だ。現在は清登の父が社長を務めている。

 だから清登の家も、屋敷といえるほど豪華であったし、沙也は幼い頃から知っていた。

 清登の家は、普通の家とは違う、と。

 その頃から、ぼんやりわかっていたのかもしれない。

 自分と彼の道は、いつか別れるのだろう、と。

 予感は実際、的中したわけだが、今はそれより目の前の話だ。

 御曹司である清登は、もちろん結婚をして、跡継ぎを持つ必要がある。

 相手はそれなりの家柄の女子になるだろう。それが家の関係として相応しい。

 沙也は清登の祖父に、ほとんど会ったことがない。

 なにしろ大企業の元・社長なのだ。孫の幼馴染の女の子になんて構う暇などあるものか。

 訪ねていったときに、何度かばったり会って「こんにちは」「いらっしゃい」の挨拶くらいしか交わしたことがない。

 だからその彼の思惑なんて、沙也がわかるはずもないだろう。もちろん、どんな基準で清登の相手を決めるかなんてことも、わかるはずがないのだ。