幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「……ん」

 ふと、ふわりと意識が持ち上がるのを感じて、沙也は身じろぎした。

 うっすらと目が開く。

 白いシーツが見えた。

 知らない感触と香りもする。

 ここは、と思ったけれど、すぐに理解した。

 目をしっかり開けて、ゆるゆる上半身を起こそうとして肘をついたけれど、そのとき、ずきっと痛みが跳ねた。

 腰を中心に、体全体がぎしぎしするような感覚が走る。

 でもこの痛みの意味はわかる。

 それに、不快な感覚でも、嫌な感覚でもない。

 むしろ、この痛みが沙也を本当の意味で現実に連れてきたようだった。

 腰に負担をかけないように気をつけながら、沙也は上半身を起こした。

 ベッドの上、シーツがだいぶくしゃくしゃになっている布団の上に座る。

 素肌のままだったので、胸までシーツを引き上げた。

 しばらく、頭の中は無だった。

 ここはホテルの一室。

 部屋は最上階のスイートルーム。

 窓に引いてあるカーテンを開ければ、清々しい朝の光が差し込むだろうし、街を一望できる光景が広がっているだろう。

 でもどれも、今の沙也にとってはまったく魅力ではなかった。

 それどころか、すべてが終わってしまったことを実感させられて、胸の中に、じわじわと痛みが広がっていく。