幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 硬い声、真剣な表情、真っ直ぐに見つめる視線……。

 すべてが沙也の心を打った。

 断る気持ちなんて、まったく浮かばなかった。

 自分の願ったこと。


『清登に知っていてほしい』


 それが叶うのだから。

 このあとどういう方向へ進むにしても、きっと大切なプロセスになってくれる。

「わかった。私も……清登くんに、会ってほしい」

 だから素直に口に出した。

 硬い声と表情だっただろうけど、その中に笑みが混ざる。

 これもやはり、自分で信じられないくらいだったけれど、わかっていた。

 悪いほうへは進まない。

 この先のことなんてわからないのに、不思議なことだと思う。

 でもそう感じるのだ。

 心の奥で……あるいは、清登とひとつに溶け合った、あの一夜のもたらしたもので。

「ありがとう」

 清登がまた軽く頭を下げて、それでこの場はおしまいになった。

 紅茶はまだ底に少し残っていた。

 その様子はまるで、話は決まったものの、まだすべてがあるべき場所へは行っていないのを示しているようだ。

 沙也は席を立ち、清登のエスコートでティールームを出ながら、そんなふうに感じてしまった。