幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 沙也は驚く。

 謝られることについては思い当たる。

『妊娠させたこと』とか『ずっと知らずにいたこと』とかだろう。

 でも両方、沙也にとっては気になるところではない。

 それどころか、自分は隠したいと思ってそうしていたのだから、清登が知らなくて当然なのだ。

 だからそれを言おうとした。

 だが、これまた、どうやら違う意味だった。

「沙也が『少し距離を置こう』って言ったとき、曖昧に受け入れないで、ちゃんと理由を聞くべきだった」

 清登が先に続けた。

 悔やんでいるという気持ちがはっきり滲んだ声と表情で、苦しそうに言う。

 沙也が言おうとしたことは出てこなかった。

 違う内容だったのもあるが、清登はあのときからずっと、抱えていたのだ。

 自分の中で抱えていたのだ、と知ってしまった衝撃が起こる。

 さらに清登は続けていく。

 沙也が完全になにも言えなくなってしまう言葉を。

「まさか妊娠したとは思わなかったけど……、俺はずるいから思ったんだ。このあとほかのひとと婚約するくせに、『十日間付き合ってくれ』って付き合わせたことで、身勝手な最低の男だと失望されたんじゃないかとか」