幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「そんなことは……ないよ」

 だから否定する言葉になった。

 清登は「そうか?」と軽く肯定したけれど、少し緩んでいた表情は、すぐ引き締められた。

 その表情で、続きが出てくる。

「沙也、うちの運転手の一人を知ってる、よな? 十日間の契約のときに、大体運転してくれてた、目暮という使用人だ」

 きゅっと沙也の心臓が反応した。

 ここで目暮の名前が出てきた意味なんてわかる。

「あ、……。……うん」

 清登はもう知っているのだ。

 目暮が沙也に会いに来たこと。

 そしてそれなら、そこでなにが話されたのかも、知っていておかしくない。

 ごくっと喉を鳴らしてしまいつつ、沙也はなんとか肯定した。

 その通りのことを、清登は静かに続けていく。

 なんの感情も、沙也には伝わってこなかった。

 怒りも、悲しみも、あるいは絶望……?

 言葉の中になにがあるのかが、まったくわからない。

 清登がこんな話し方をするのを聞くのは、初めてだった。