幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「う、うん。元気だよ。実家を出てね、友達の家の近所に……」

 そんな気持ちになりつつも、近況に返事をした。半分以上は嘘の近況を。

 このあとちゃんと話すから、今は許して、と思いながら。

 清登も何気ない調子に聞こえる口調で近況を話してくれた。祖父の会社で、父に次ぐ役職に就いて、最近は海外支部へ飛ぶこともたまにあるのだと。

 現在、祖父は相談役。父が社長だ。

 もちろん、次期社長は清登だ。沙也の勤めるような一般企業でいうところなら、本部長という地位にすでに就いていて、経営学の勉強を重ねると同時に、流通を扱う部署をまとめている。沙也が驚いてしまうような境遇だった。

 まるで雲の上。

 仕事をしていたときだって、沙也はあくまでただの事務員だった。出世ラインに乗るような職ではないから、そんな将来なんて絶対になかった。

 本当に、生きる世界が違う。子どもの頃とはすっかり違う場所になってしまったんだ。

 胸がちくちく痛む気持ちを抱えつつも、表面上は明るく清登の近況を聞いた。その間にも車は道を走り、やがて高層ホテルの地下駐車場へ入っていった。