幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 全部同じだ、と沙也は知る。

 車の中にある、ほのかで上品な芳香剤の香りも。

 シートの乗り心地も。

 車がほとんど振動もないくらい、静かに走ることも。

「ほんとに久しぶりだな。二年以上か」

 しっかり前を見て運転しながら、清登が噛み締めるように言った。

「そうだね。今日はいきなりごめん」

 沙也はそれを受け止め、軽く謝った。

 呼び出してしまったのは自分なのだから。

 清登は忙しいというのに、わざわざ時間を割いてくれただけではなく、迎えにまで来てくれた。

 甘えてばかりになったと思う。

「いいや。……その」

 だが清登は軽く否定した。

 それだけではなく、そのあとなにか続けかけて、少し言い淀むような空気になる。

 なんだろう、と運転席の清登を、そろっと見やったとき。

「俺からも連絡しようか、と思ってたんだよ」

 清登が言ったこと。

 沙也は数秒、意味がわからなかった。