幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「清登くん」

 くちびるを開いた。

 声を押し出した。

 意外と声は震えなかったけれど、代わりに胸はもっと熱くなった。

 あの夜……最初で最後の夜が明けた朝。

 呼びたくて、でも口から出せなかった名前が、今、口から出せる。

 そのことに、感動なのか、喜びなのか、あるいは一種の後悔や痛みなのか……。

 色々混ざっているだろう感情だろうが、とにかく、とても熱かった。

「久しぶり」

 清登の表情が、ふっと緩んだ。

 優しい言葉がかけられる。

「うん」

 沙也も答える。

 たったこれだけのやり取りなのに、とてもたくさんのものが詰まっているように感じられた。

 それに、沙也から勝手に「しばらく連絡しないようにしよう」と言ったのに、あちらから言ってくれた。

 本当に優しいひと。

 沙也は知っていたはずのことにすら、感じ入ってしまった。