幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

 本当なら六月から保育園入園も、復職もするつもりだったけれど、この事態だ。

 事によっては、これからの事情が変わってしまうかもしれない。

 だからもう少し延期することにした。

 幸い、どちらもすぐに受け入れられて、今はフリーな状態。

 時間を気にする必要はなかった。

 やがて、道の向こうから黒い車が走ってきた。

 沙也の心臓が、どきんっと強く跳ねる。

 遠くからでもすぐわかった。

 あの車だ。

 十日間の交際のとき、清登が運転していた車。

 そして、半月ほど前、目暮が乗って沙也に会いに来た車だ。

 思った通り、その車は駅前の乗降場へ滑り込んできた。

 窓がするっと音もなく開く。

「沙也」

 運転席から声をかけてきたのは、もちろん清登。

 沙也の胸に、熱い感覚がいっぱいに広がった。

 胸が熱くてたまらない。

 本当はずっと会いたかったひとだ。

 服装はカジュアル目のスーツ。

 ネイビーの生地に、水色のタイだ。

 二年と少しが経っているのだ、顔立ちは少し変わっていた。

 より精悍になった、というのか。

 仕事も生活も、より一人前になって、経験を積んだからだろう。