幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました

「ああ、ありがとう」

 洋斗をあやしつつあった明依が、視線だけ向けて、にこっと笑う。

「お菓子もあるんだよ。水ようかんだけど、好きだったかな」

「好きだよ! いただいていいの?」

「もちろん。話を聞いてくれたお礼だよ」

 その明依と穏やかなやり取りをしながら、沙也はそう遠くないキッチンへ向かった。

 冷凍庫からいくつか氷を取り出し、グラスに入れる。

 作り置きのアイスティーのボトルを取り出して、グラスに注ぐ。

 そうしてから、次はお菓子。

 ちゃんと冷やしておいた水ようかんがふたつ。

 洋斗にはまだ早いから、子ども用のおせんべいを取り出した。

 お茶の支度をしながら、沙也の心は穏やかだった。

 軽くなり切ったとまでは言わない。

 解決もしていない。

 でもひとつの方向は見えてきた、と思う。

 後悔がないようにすること。

 きっと一番大切なことを教えてもらったから。